「五山の送り火」は東山如意ヶ嶽の「大文字」、松ヶ崎西山・東山の「妙と法」、西賀茂船山の「船形」、金閣寺近くの大北山の「左大文字」、嵯峨曼荼羅山の「鳥居形」の五山で行われます。
毎年日にちは決まっていて、8月16日の夜8時から行われます。五山一斉に点火されると思われている方が多いようですが、実は少しずつ、点火時間はズレて点火されます。天候などによって、多少変更される場合もあるそうですが、大文字(右)が午後8時、妙法が午後8時05分、船形が午後8時10分、 左大文字が午後8時15分、鳥居形が午後8時20分となっています。
また五山どの送り火も均等に見えると思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、比較的低い山もあり、また三方を山で囲まれた京都盆地なので、角度によっては他の山の影に隠れてしまい、見えないこともあります。京都市内は景観条例により建物の高さや看板、ネオンが規制されていますが、やはり市内にはビルやマンションも多くなり、五山を一望できる場所は少なくなっているようです。私の長年京都に住んでいますが、五山の送り火を同時に見たことはありません。
五山が一望できるのは、当然高いところなのですが、基本的に有料となっています。一番に思い浮かぶのが京都タワーですが、8月16日は貸し切りディナープランを申し込まないと展望室へは上がれません。通常営業は19時までとなっているので、早めに上がって待ってようというのはできません。
そのほか、からすま京都ホテルやホテル日航プリンセス京都など、市内中心部のホテルでも同様に「大文字五山送り火鑑賞の夕べ」などのディナープランが催されます。この日ばかりはホテルの屋上が開放され、予約客はこちらから送り火を鑑賞することができます。私も一度だけ、これらのプランに申し込んだことがありますが、屋上は消灯されるため、危険防止のため、椅子や接待類のサービスはなく、立ったまま各自自由に鑑賞することとなります。
こちらは京都ホテルオークラ。京都で一番背の高いホテルです。
木屋町側から
このホテルの屋上からならよく見えると思います。
有料プランばかりではなく、無料で鑑賞できる場所もあります。その代表が京都駅ビル空中経路で別名スカイウェイ。京都駅ビルの中央コンコース上方にある東エリアの7階と西エリアの10階を結んでいる空中遊歩道で、長さは147mもあります。ただしこちらは無料の代わりに抽選となります。7月に応募期間があるようです。
拉麺小路の奥から空中経路への入り口があります。
外へ出るとこんな感じの通路となっています。
でも今日はあいにくの天候で五山がよく見えません。
大文字山は知恩院(工事中の大屋根)の先に見えるのですが、今日は見えません。
本当なら写真の中央部分に「大」の文字が見えるはずなのですが・・・。
スカイウェイにあった案内板。
東の方角を写真撮ったんですが見難いですね。
この地図なら八坂神社と知恩院・八坂の塔の間の黄色い文字が大文字山です。
西の方には、左から鳥居、左大文字、船形 黄色の文字で見難いですね。
今晩のために危険防止の「登らないでください」が・・・。
ほかにも見られそうなスポットが駅ビルにないか探したのですが、
ここ以外からはよく見えないようです。
一等地は、京都タワーの展望室でしょうね。
これらのスポットからは、ほぼ五山すべてを見ることができるようですが、「五山すべてが見られる」=「五山から遠い」ということで、各送り火は小さく見えることとなります。五山すべてを見られるのもいいですが、一つか二つ、間近で見られるもの、風情があっていいものです。おもわず故人を偲んで合掌してしまいます。
この五山の送り火はしないいろんなところから鑑賞できるのですが、見通しの良いスポットは早い時間から人でいっぱいになります。また、東大路通りや西大路通りでは、その時間帯は、道路渋滞が起こり動けなくなりますので、覚悟しておいてください。
ここは大文字山の麓の北白川通です。通りの建物の隙間から見えます。もっとも近い場所です。
天気が良いと、こんな風に見えます。
少し離れて、今出川河原町、出町付近から。
やはり少し離れたほうがよく見えます。
高野川と賀茂川が合流する出町柳の三角州は絶好のポイントなのですが、
今日は雨がふるかもしれないので、
ちょっとオススメできません。
三角に刈り取られた山の斜面に「大」の文字があります。
また五山の送り火の点灯時間は、何時間もあるとお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、それぞれ概ね30分間です。火床におかれた薪が燃やされるので、最初は明るく、徐々に暗くなり消灯されます。「 大文字」→「妙法」→「船」→「左大文字」→「鳥居」の順に点火されていくため、8時に始まって9時頃には終了となります。送り火はいまでは、夜8時と完全に暗くなってからの点火となっていますが、江戸時代には、いまより約1時間早い7時ごろで、日の入りの直後の薄明るい中での点火だったようです。どうやら理由は、点火した作業員も下山しなければならないので、照明器具のない当時は、暗闇になるまでに終了しなければならなかったようです。
あと、左大文字もそうですが、京都には右京区、左京区、上京区、下京区など左右、上下が地名についていることが多いのですが、何を基準に右左上下かご存じですか?地図で見ると地図の右側にあるのに左京区?これは御所から南側、朱雀大路、羅城門を向いて右左、上下なのです。そうです。天皇からの目線で、左右上下が決まっているのですね。
なお、京都人は大文字のことを「大文字焼き」とは言いません。ちょっと“イケズな”やりとりで、「それどんなお菓子?」なんて言われるかもしれません(笑)。送り火は観光色が強い風物詩となってきましたが、あくまでお盆にお迎えした「お精霊(おしょらい)さん」と呼ばれる先祖の霊を送り火で送る儀式だということは知っておいたほうが、興味深く鑑賞できると思います。
帰りに伊勢丹へ寄ったら、いろんな大文字グッズが販売されていました。
京都の夏もそろそろ終わりですね。
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